ヌーパーは17歳の時にジャヤナータという青年と肉体関係を持ち、妊娠する。その前に ヌーパーの姉、チャンダナーも恋人のラニルの子を宿す。ラニルは中絶させようとするが、周囲の協力もあり、結婚にこぎつける。だが、ヌーパーは家族に打ち明けることができない。
ヌーパーは思う。
තාත්තට, අම්මාට චන්දනක්කා
දීපු දුක ඒ විදිහටම දෙන්න බෑ. කොහොමහරි මේ රාහුලයාගෙන්
මිදෙන්න ඕන. මේක මහා දුකක්, බැඳීමක්. මේ බැඳීමෙන් මම මාව ගලව ගන්න ඕන. (p. 21)
「チャンダナー姉さんが与えたのと同じ苦しみをお父さんとお母さんに味わせるわけにはいかない。どうにかして、ラーフラから逃れないと。大きな苦しみ、足枷。この枷から自由にならないといけない」ここでラーフラ(රාහුල)というのは、後にブッダとなったシッダールタ王子(සිද්ධාර්ථ)と妃ヤソーダラー(යසෝධරා)との間に生まれた子供の名前である。ラーフラはシッダールタが家族を捨てて出家する直前に生まれた。シッダールタは我が子の誕生の知らせを遠くで聞き、こう言ったという。
රාහුලයෙක් උපන්නා
බැම්මක්(බැඳීමක්) ඇති වුණා
「ラーフラが生まれた。枷ができた」
子供は出家をする身においては束縛となり、妨げとなる。それでも、子を捨て、妻を捨て、出家しなければならない。このラーフラという言葉が転じて、束縛、障害の比喩として用いられる。
ヌーパーはお腹に宿った命の軛から逃れようと、もがき苦しむのである。